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任意整理を行う過程で、過払い金が発生していることが判明します。過払い金とは一体なんでしょうか。
利息に関する法律に、利息制限法と出資法があります。平成22年6月新貸金業法の施行により利息制限法を超える利率の貸付はできなくなりました。それ以前は、出資法の上限利率が年29.2%の金利でしたので、利息制限法の制限利率を上回る利息を払った場合、その払い過ぎた利息が過払い金に相当します。
下記のとおり4つの項目をかかげ、質問に答える形式で説明してみます。
過払い金とは債務者が貸金業者等に払い過ぎたお金のことです。債務者が貸金業者から利息制限法の制限利率を超える利率により借入れをしている場合に、利息制限法の法定利率に引き直し計算をして算出される、支払う必要のなかった金額のことをいいます。
過払い金が発生するのは、利息制限法の利率と貸金業者の貸付利率に大きな差があるからです。貸金業者の大半が、平成22年6月の貸金業法が改正される前まで、出資法の上限の年29.2%もの高利な利息で貸付けていました。利息制限法は上限利率を次のように定めています。
この利息制限法上限利率から出資法上限利率の間の金利をグレーゾーン金利といいます。
出資法に違反しなければ刑事罰がないので、大半の貸金業者が利息制限法を遵守しないで出資法上限金利に近い利率により貸付を行い、膨大な利益を上げてきたのです。
上記の例では、1年間に56,000円利息を払い過ぎているのですから(約定残高が50万円残っていたとしても)、単純に9年間で払い過ぎの利息が50万4,000円に達しているので、4,000円過払い金が発生していることになります。
しかし、利息制限法の年18%で引き直し計算する場合、払い過ぎの利息が元本に充当されるのですから、単純計算より3~4年早く過払い金が発生している確率が高いといえます。経験上、50万円近くの残高を推移しながら借入れと返済を5~6年間繰り返す取引をしていれば、残高は限りなくゼロ若しくは過払い金が発生します。
司法書士は、債務者の皆さんから、任意整理若しくは過払い金請求業務を委任されますと、まず貸金業者に対して受任通知を発し取引履歴の開示を請求します。取引履歴が開示されると利息制限法の上限利率により引き直し計算をします。過払い金が発生していれば、過払い金利息を含めて、直ちに書面で貸金業者に過払い金返還請求をします。
判決を得ても中小の貸金業者は経営難なところが多く、判決を得た過払い金額の返還は容易ではありません。過払い金返還額の多寡は貸金業者の体力次第というのが現状です。
過払い金返還請求権は、皆さんが大変苦しい思いをして支払ってきた高金利のうち、払い過ぎた利息分の返還を求める当然の権利なのですが、その返還を求めるとなると粘り強い交渉と訴訟遂行という相当なエネルギーと時間を要します。
当事務所は、今後の皆さんの生活の糧となる過払い金返還について、今後も全力を上げて取り組んでまいります。