特定調停とは、支払い不能に陥る恐れのあるときに活用できる手続です。特定調停法は、支払い不能に陥る恐れのある債務者(個人・法人)の経済的再生の手続を定めたものです。
民事調停法の特例で、債務者が負っている金銭債務についての利害関係の調停を目的とするものです。特定調停が、通常の民事調停より有利な点は以下のとおりです。
特定調停は、申立てにより裁判所が当事者を呼び出し、調停期日において調停委員が交互に言い分を聞き、話し合いがつけば、調停調書が作成され終了します。この調停調書は判決と同一の効力があります。
特定調停を申し立てることができるのは特定債務者です。特定債務者とは、「金銭債務を負っている者であって、支払い不能に陥る恐れのある者もしくは事業の継続に支障を来たすことなく弁済期にある債務を弁済することが困難な者、または債務超過に陥るおそれがある法人」をいいます。
具体的には、借金の返済で困っている個人(住宅ローンを抱えて困っている個人を含む)や負債を抱えて困っている会社です(民事調停法2条1項)。
特定調停の申し立ては、原則として相手方(債権者)の住所地を管轄する簡易裁判所に対して行います。申立て費用は、債権者数×500円と若干の予納郵券です。
申立ての際に提出する資料は、一般的には下記のとおり。
特定調停は、債務者が払ってきた金銭を利息制限法に引き直して制限超過部分を元本に充当する再計算を行って、現在の借入残高を確定させたうえで、今後の弁済について利息は付さず長期の分割弁済とするのが原則です。
一般的には、簡易裁判所では、まず申立て本人の生活状況を、返済可能金額を確認するため、申立人のみを第1回目の期日に呼び出し、調停委員が申立人から事情を聞いて第2回目以降の調停期日に備えるという工夫がされています。
債権者が調停期日に出頭しない場合や調停が成立する見込みがない場合、裁判所は相当であると認めるときは、職権で当自主双方の趣旨に反しない限度で調停に替わる決定(民事調停法17条に定める決定)をする場合があります。
債権者が合意しない場合、債権者が17条決定に異議を述べた場合及び債務者が調停を取り下げた場合などにより調停不成立となった場合においても、基本的に司法書士の受任通知による取立行為の禁止効が及んでいると考えられ、債権者の取立ては禁止されているので、任意整理などの他の方法を選択し債務整理を図ることとなります。
平成15年には53万7,000件も申し立てがあったものが、年々減少し平成20年には10万2,000件余りと激減傾向にあります。平成15年に司法書士法改正に伴い、それまで債務整理方法として特定調停を主に選択していた司法書士に『任意整理』というメニューが加わったため、特定調停が減少してきたことが大きな理由です。
したがって、任意整理を選択し指定調停と同様の効果を果たすことが可能となったことにより、初めから任意整理によって決着することを目指すべき場合が多くなりました。
特手調停を委任された場合、司法書士が代理人となって手続きを行います、この手続きに関する司法書士の報酬は、任意整理の報酬に準じますので、任意整理の報酬に関するページをご覧ください。
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